MaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、あらゆる交通手段を統合し、その最適化を図ったうえで、マイカーによる移動とは違った新しい移動サービスを提供する概念のことです。MaaS化の動きは欧州で活発化しており、その流れが日本にも押し寄せてきています。日本でも都心の交通事業者が電車やバスなどの異なった交通モードを統合し、移動自体をサービスとして提供する動きがみられます。 株式会社MaaS Tech Japanはその名の通り、MaaS(Mobility as a Service)を支えるテクノロジーを開発し、理想的な移動社会実現に貢献するために設立されました。代表の日高氏に、MaaSの始まりとこれからについてD4DR代表の藤元がうかがい、未来について語り合いました。

MaaSを推進する上での課題

藤元:
 日本でMaaSを作り出す難しさとは何でしょうか。
日高:
 MaaSの世界では、交通サービスを提供する側とMaaSオペレータとしてまとめる側に分かれることが基本にあります。そのため融合や連携することで新たな価値が出てくるのですが、現状誰がまとめるべきかという問題の解き方は非常に複雑です。MaaSは新しい市場ですが、既存のものを壊すというよりは、交通事業者やステークホルダーとの関係性を重視したいと思っています。
藤元:
 日本の企業はレイヤー構造を作るのが苦手な印象があります。

画像: 藤元 健太郎:1991年電気通信大学情報数理工学科卒業後、野村総合研究所入社。1999年5月、株式会社フロントライン・ドット・ジェーピー代表取締役就任。 2002年6月、D4DR(ディー・フォー・ディー・アール)株式会社代表取締役に就任。日経MJ「奔流eビジネス」連載中。

藤元 健太郎:1991年電気通信大学情報数理工学科卒業後、野村総合研究所入社。1999年5月、株式会社フロントライン・ドット・ジェーピー代表取締役就任。 2002年6月、D4DR(ディー・フォー・ディー・アール)株式会社代表取締役に就任。日経MJ「奔流eビジネス」連載中。

日高:
 成熟して利益が出る構造の会社がわざわざそこに踏み込むことはあまりしないことだと思います。MaaSをやった方がいい会社、地域もあれば、やってほしくないところもあるでしょう。
 しかし、日本の中でもレイヤー構造を意識して、プラットフォームビジネスとして戦えるプレイヤーが出てこないといけないと感じています。
 日本では1業態で何社か競合しているケースが多いので、プラットフォームを構築してより価値を作っていくという考え方が出てきにくいのではないでしょうか。MaaSで言うと、ただプラットフォームを形成して、「ユーザーが便利になった」とか、「海外のプレイヤーが入ってきたときにどう対応するのか」ではなく、「都市ではこういう価値を提供できるのでは?」「地方ではこういうサービスがよさそう」といったイメージを、多くのプレイヤーと共有するのが大事です。未来のビジョンなど、より具体的なものがでてくると、プラットフォームによる生み出されるの価値のレベルが上がってくるのではないでしょうか。

画像: 日高洋祐:MaaS Tech Japan 代表取締役。2005年、鉄道会社に入社。ICTを活用したスマートフォンアプリの開発や公共交通連携プロジェクト、モビリティ戦略策定などの業務に従事。現在は、MaaSTech Japanを立ち上げ、MaaSプラットフォーム事業などを行う。国内外のMaaSプレーヤーと積極的に交流し、日本国内での価値あるMaaSの実現を目指す。

日高洋祐:MaaS Tech Japan 代表取締役。2005年、鉄道会社に入社。ICTを活用したスマートフォンアプリの開発や公共交通連携プロジェクト、モビリティ戦略策定などの業務に従事。現在は、MaaSTech Japanを立ち上げ、MaaSプラットフォーム事業などを行う。国内外のMaaSプレーヤーと積極的に交流し、日本国内での価値あるMaaSの実現を目指す。

株式会社MaaS Tech Japanの役割とは

藤元:
 その中で日高さんの会社の役割は何でしょうか。
日高:
 私達の会社はMaaSプラットフォームの中の価値を生み出す部分を開発し提供していきます。単に交通サービスをホチキス留めのようにつなぎあわせるだけではなく、横断的にデータをAIによって最適化し、モビリティサービスの最適化や改善をすることでデータを提供してユーザにとっての価値はもちろんのこと、MaaSサービスを構成する交通事業者様にも貢献できるモデルを構築します。それらの価値は認知されにくいので、当面はメディア事業やコンサルティングという形で各産業や事業者と一緒にどのように進めていくかのMaaS戦略を作りながら、必要な機能部分を開発しています。

■海外プレイヤーの進出をどう捉えているか

藤元:
 海外のプレイヤーが日本に進出してくることに対してどう思いますか。
海外でも日本でも、いずれにせよ便利になれば問題ないという話もあれば、GAFAのように全てを握られるのは嫌だという話もあります。日高さんはどういうスタンスでしょうか。
日高:
 ICTやAIについて純国産にするのはどう考えても無理で、海外から学ぶことも多いです。ただし、日本の中でもそういう先進的なMaaSプレイヤーがでてきて、日本を出て海外に行くというような話がないと、日本の産業は成り立たなくなると感じています。僕たちも日本実装を足掛かりに海外に価値を提供していけることを目指します。そういったプレイヤーとは、どこかで私達もプレイヤーとして競争関係にならないといけないし、日本だからこそできるサービスもあります。日本独自のサービスを、海外で価値として提供できるレベルまで成長させていきたいと思います。悪意があって参入するプレイヤーはMaaSの世界にはいないとは思いますが、それでも海外の会社に交通のデータや人の移動、料金の設定方法など全てを握られる怖さはあると思います。それはモビリティに限った話ではないと思います。我々が提供できる価値を形にしていくことが重要と考えています。
藤元:
 そうなると投資環境を整えてもらいたいですね。
日高:
 MaaSについて話すとき、交通の課題解決のことばかりになってしまうと、そこだけで閉じてしまいます。MaaS自体がマーケットとなって、お金が入る仕組みや、稼げることよりも実現したいことに対して、投資のお金が回ってくることが必要です。地方の交通の課題を解決しよう、という話だけになると、税金でやるべきことです。投資の場合、例えば新しいモビリティを導入するとか、新しいマーケットを作るなど、もっと価値のあるものについて投資側が認知し、そこにお金がまわる仕組みができれば、MaaSの普及はスピードアップすると思います。
自動運転も始まり、MaaSというわかりやすいものあるので、価値をどんどん周囲に伝えていくことが必要になると思います。

■MaaSの推進とその先の未来

藤元:
 日高さんが思い描く未来をぜひ教えてください。
日高:
 交通はビジネスかもしれないし、インフラかもしれませんが、MaaSが普及した際には、交通は様々な新産業や新技術の導入を促進する土台になると思っています。
通信では、進化に伴ってどんどん新しいサービスが出てきました。交通も若干進化してきているとはいえ、新しいサービスはなかなか生まれていない状況です。MaaSという文脈の中で、新しい交通インフラが出来上がれば、その先にもっと様々な交通サービスが生まれると思います。
通信の進化でサービスがたくさん生まれたように、MaaS自体が目的というより、MaaSが実装されたときに、交通の上下左右の関連産業の皆さまと新しいサービスを作っていきたいと思います。これは僕らだけではできないですし、「Beyond MaaS」、MaaSの先の未来がどうなるのかを様々な人と一緒に考えていきたいです。
藤元:
 そうですよね。インターネットが出てきて、常時接続になって、様々なビジネスが誕生したようなことが起こると、私も思っています。私個人としては、定額で移動し放題というサービスがあれば世の中が劇的に変わるとのではないかと感じています。ぜひ日高さんの力で、そんな未来を実現してください。私も微力ながらお手伝いするので、共に頑張っていきましょう。

次世代交通サービスと呼ばれているMaaSですが、ただ交通を統合するだけで終わるのではなく、MaaSが実現したその先を見据えなければ、MaaSの価値が薄まってしまうでしょう。MaaSを起点に観光や不動産、保険など様々な業界と組み合わせて、新たなビジネスを生み出していくことがMaaSの価値を高めるうえで必要であると感じました。個人的には、MaaSと観光は親和性がとても高いので、地方の観光業の活発化が期待できるのではないかと思っています。MaaS化によって、都心だけでなく、日本全体が盛り上がって欲しいと思っています。

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